ウエディングドレス姿を見て泣いた父

私が父の泣いている姿を見たのは、25年間生きてきた中でたった1回きりです。しかしその父の流した涙は、父が私をどれだけ愛してくれているのかということがとても伝わってくるもので、一生忘れることのできない思い出となっています。この涙は、私が結婚式を挙げる当日に見たものです。私はこれまで、父のこういった弱さを1度も見たことはありませんでした。父はどちらかというと、感情をあまり表には出さないタイプの人で、私が学生のときに悪い成績を取っても怒ることはなく、反対に部活動で良いスコアを残しても褒めることさえありませんでした。そんな父がこのように涙を流してまで感情を見せてくれたのは、きっと私を育てきったという安心感があったからだと思います。

というのも、私は生まれてからずっと、父の手1つで育てられてきて、母の愛情というものを受けたことがないからです。母は私を生んですぐに家を出て行ってしまったそうで、それからというもの、父は1人で一生懸命に私を育ててくれました。父はあまり感情を見せないというよりも、娘とはいえ、異性である私に対して、どういった接し方をしていいものかわからなかったのかもしれません。そうして父に育てられてきた私は、24歳のときに結婚をすることに決まり、それまでずっと一緒に暮らしていた父との家を出ることになりました。そして結婚式当日、私のウエディングドレス姿を見た父は、何かの一線を切ったかのようにして、大粒の涙を流したのでした。

父はこれと同時に、私に対する想いを語ってくれました。母親のいない私に寂しい想いをさせていなかったか、自分は父親としてきちんと接することができていたのか、これから私には幸せになってほしいこと、結婚に対して嬉しい気持ちもあれば寂しい気持ちもあることなど、父は涙に言葉を詰まらせながらも、たくさんの想いを伝えてくれました。そんな父の気持ちを初めて知った私は、ただただ父に「ありがとう」と言いました。父にとって私のウエディングドレス姿は、本当に結婚するということを実感させるもので、このように気持ちが溢れてしまったのだと思います。しかし父は、涙を流しながらも、私のウエディングドレス姿を褒めてくれました。私は父を1人にしてしまうことに申し訳ないという気持ちを抱いていたのですが、祝福してくれる父を見て安心することができました。私は父のことが大好きで、これからも一生大切にしたいです。

 

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